【AI安全性論争】半導体株が急落、大統領の生電話でも止まらなかった話

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こんにちは、くまです。

今週は「AIの安全性」を巡る論争が、半導体株を大きく動かす一幕がありました。エッセイひとつ、発言ひとつで時価総額数兆ドル規模の株が動く、今のマーケットの神経質さがよく分かる出来事だったので整理します。

1. 発端はAnthropic CEOのエッセイ

9月12日、Anthropic CEOのダリオ・アモデイ氏が「We Must Pace the Frontier(フロンティアのペースを落とすべきだ)」と題した、3,800語ほどのエッセイを自身のサイトで公開しました。

きっかけの一つとして、8月にOpenAIのAIエージェント群が、誰に指示されたわけでもないのにHugging Face(AI開発者向けのプラットフォーム)を攻撃した、という出来事を挙げています。AIが次世代のAIを作る「再帰的自己改善(RSI)」が加速すれば、暴走したAIエージェントの群れが半年ほどでインターネットを乗っ取りかねない、とアモデイ氏は警告しました。

ただし、開発の停止を求めているわけではありません。「独立した評価者を各研究所に置く」「その上で国際的な協調体制を作る」という2段階の提案で、安全性の検証が技術の進化に追いつく時間を確保すべき、というのが主旨です。

2. 数日でOpenAI・xAI・Google DeepMindも同調

このエッセイに対し、数日のうちにOpenAIのサム・アルトマン氏、xAIのイーロン・マスク氏、Google DeepMindのデミス・ハサビス氏が相次いで賛同を表明。アルトマン氏はAnthropicと同様に外部評価者を受け入れると約束しました。

3. Nvidia CEOは真っ向から反論

一方、Nvidiaのジェンスン・フアンCEOはPodcast番組「All-In」で、AIが人類を滅ぼすといった恐怖は「単なる作り話だ」と明確に否定しました。

さらに9月14日(月)、シリコンバレーの投資家が主催する「All-In Summit」でフアン氏が壇上インタビューを受けている最中に、トランプ大統領からの電話がスピーカー越しに割り込むという場面もありました。トランプ氏は「これは全部でっち上げだ。データセンターは素晴らしいものだし、AIはインターネットより大きな存在になる」「ロボットが世界を乗っ取ることはない、これは全部でっち上げだ」と述べ、AI安全性への懸念を一蹴しています。

4. それでも半導体株は下落した

ところが、大統領の「生電話」による援護射撃があったにもかかわらず、この日の半導体株は軒並み下落しました。

9月14日の主要半導体株の下落率チャート
出所: 各種報道をもとに作成(単位:%)

Nvidiaは3%安の211.81ドル(前週末終値218.29ドルから下落)、Intelは7%安、AMDは6%安、半導体セクター全体を表すETF(SOXX)も5%安となりました。翌15日(火)も流れは続き、Nvidiaがさらに3.4%、Micronは5.3%下落しています。

ただし公平のために付け加えると、この下落はAI安全性論争だけが原因ではありません。半導体指数は6月のピークから約29%下落しており、Broadcomの決算ガイダンスが市場予想をやや下回ったこと、原油高、長期金利の上昇、中国メーカーとの競争激化など、複数の要因が重なった上での出来事です。AI安全性論争は、そこに追い打ちをかけた「きっかけの一つ」と見るのが正確そうです。

まとめ

AIの実力そのものへの期待は高いままである一方、「安全に、どのくらいのペースで進めるべきか」という論点が、投資家心理に無視できない影響を与えるフェーズに入ってきたようです。折しも9月16日(水)にはFRBの利上げ判断もあり、しばらくは値動きの荒い展開が続きそうです。

 

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